大正14年、横山大観が早稲田大学・図書館の壁画制作のために、先代の人間国 宝、岩野平三郎氏に18畳大の一枚紙を漉かせたもので、試行錯誤の末、7枚のみ 使用できうるものが仕上がった。 大観と下村観山の共作による『明と暗』の他、生地のままでドイツのグーテ ンベルグ博物館をはじめ福井の和紙の里博物館、新聞社などが所有している。 今回、現在の岩野家の倉庫に密かに保管されていた、最後の一枚を譲り受ける 事ができたのは、たまたま私が大きな紙を探していたから手に入った。という 単純な巡り合わせではないような気がする。 なぜならこの大きな紙(世界最大の彩色可能な和紙)に彩色したのは、大観と観山、 そして私、正観の3人だけであることに、観 の字に不思議な因縁を感じる。 私は、観音の観の字を本名、正(ただし)の下に付け足しただけで、横山大観の 一門とは、何の関係もないからだ・・・。 |