中外日報 1996年(平成8年)4月20日   諸団体の枠より

仏画家 藤野正観氏の講演

京都仏教クラブ
  同会(吉田裕信会長、京都市下京区東洞院塩小路下ル 京都センチュリーホテル内)では、四月十二日の例会を「花まつり」 として、JR京都駅横のセンチュリーホテルで開催、六十人近い会員が出席した。
  まず、三帰依文が唱えられた後、仁和寺門跡の吉田会長=写真=を初め、 副会長の山口圓道曼殊院門跡門主が花御堂に灌仏を行った。 続いて、仏画家の藤野正観 氏(京都市西京区在住)を 講師に招いて、「私と仏画」と題する講演を聴いた。


灌仏をする吉田会長


藤野氏は、昭和二十五年生まれで、十八歳で 図案家の本沢一雄氏の内弟子となり、図案家としての道を歩んでいたが、十二年前に 観音図を依頼されて仏画に開眼し、アトリエ近くの善峯寺に掃部光暢住職を尋ね 相談し、仏の心につい教えを受ける。 以来、仏画工房 「楽詩舎」を開き、弟子五人とともに仏画のプロ集団とし て本格的に制作を開始する。
 以来、千葉の東福寺に興教大師絵伝六面壁画、熊本の蓮華院に両部大經感得図、 福岡の千如寺では開山党内を荘厳。鎌倉光明寺の壁画や東京浅草寺の「釈迦十六善神図」 などをてがける。
  また、近くは、十八畳大の一枚和紙「岡大紙」に平成大涅槃図」を描いたものが、 駒沢学園講堂に納められている。 現在は、善峯寺の依頼で、国宝「釈迦金棺出現図」(京博蔵)の模写を手がけるなど 新たな作品に挑戦し続けている。
 講演に立った藤野氏は、「私の仏画を通して、一人で も多くの方が、お釈迦さまのお徳を心の灯火にしていただけたらと願っている」と語って ていた。
▽ニ十六日日には、吉田会長の好意により、家族例会が仁和寺で開催され、名残り の花を観賞することになっている。