2020年2月26日 中外日報社 情報アラカルト  

画業50年の集大成
仏絵師・藤野正観さん

滋賀で作品展、精密な大作


 仏絵師・藤野正観氏(69)の画業50年を記念した作品展「藤野正観の仕事展」が滋賀県東近江市の「観峰館」で開催されている。
1995年に駒沢学園(東京都稲城市)の「平成大涅槃図」を制作したことにより「涅槃図の藤野」と称される同氏の「集大成」ともいえる作品展で、尊像画や涅槃図や曼荼羅図といった大型作品など43点を展示する。3月15日まで。

 同展は仏画工房・楽詩舎(京都市西京区)を主宰する藤野氏が東近江市出身という縁で実現した。
存命中の作家の作品展は初と言う。
 初公開となる「悲母観音図」は、幕末から明治にかけて活躍した狩野芳崖の作品を元に拡大して描き上げた。
芳崖の作品は近代日本画の原点とされ、藤野氏が出会った最初の仏画で、最も大きな影響を受けた作品という。縦288a、幅120a。

 この展示会のために描き上げた「江戸様式涅槃図」は弟子や動物などを多数描き込み、釈尊の涅槃を嘆き悲しむ様子を生き生きと描写した。
 また「西院本胎蔵曼荼羅」(複製)は、国内現存の最古の彩色曼荼羅とされる東寺西院曼荼羅を元に描いた。
大作を数多く手掛ける同氏だけに大和絵の技法で精緻に仕上げた。

 藤野氏は「仏画を眺めることは自分と向かい合うことだと思う。仏画を展示するこの空間に入っていただき、心の奥底にある慈悲心の触発につながればと期待する。一人でも多くの方に経験してほしい」と話している。

 開館時間は午前9時半から午後5時まで(入館は午後4時まで)。開催期間中の休館日は3月9日。。入館料は一般500円。

 観峰館への問い合わせは電話‖0748(48)4141。

写真は藤野氏と「悲母観音図」