京都新聞 地域プラス 2014-08-29


東寺の国宝・両界曼荼羅図、鮮やか模写 京都の仏絵師


 京都市南区の東寺(教王護国寺)が所有する平安時代に描かれた国宝「絹本著色両界曼荼羅(まんだら)図(伝真言院曼荼羅)」を模写した作品を、西京区の仏絵師、藤野正観さん(63)が色鮮やかに完成させた。29日から3日間、無料公開される。

 作品は胎蔵界と金剛界を描いた曼荼羅図2点で、それぞれ縦約1・8メートル、横約1・7メートル。東京都新宿区の寺院の依頼で2012年11月から下図に着手し、今月完成させた。お手本の国宝の曼荼羅図と同じ絹本に、岩絵の具などの伝統的な顔料を用いて描いた。

 仏の背景に施された微細な濃淡で浮かび上がって見える。
千年前の色彩を単によみがえらせるのではなく、時間の経過までが分かるよう工夫したという。

 制作中に、肺がんが見つかったという藤野さん。「曼荼羅図のご加護か、仕事に集中できた。
間近に見られる機会にぜひ来てほしい」と話している。
公開は、西京区松室北河原町の藤野さんの工房「京都・仏画館」で、午前9時〜午後5時。
京都・仏画館TEL075(201)3160。
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