山陰中央新報 2009-6-3 朝刊
孤高の仏絵師 藤野正観 一面特集 と 仏画頒布CM PDFファイルがダウンロードできます。 |
山陰中央新報 2009-6-10朝刊
−仏画を手掛けるようになった経緯は。 「子どものころ、物語『フランダースの犬』の主人公がルーベンスの絵を見て亡くなるラストシーンを読み、絵は人を幸せにする、安らかにできるんだ、と感じた。25年前に仏画と出会い、これだ、とのめりこんだ。古い仏画を再現しているが、模写ということではなく、平成のフィルターを通して、継承していきたい」 −仏画の見どころは。 「仏画は日本画のルーツ、日本の美の原点だと考えてもらっていい。宗教の絡む絵は敷居が高いと感じる人があるかも知れないが、素直に観賞してもらえたらいい。慈悲、慈愛を表現する仏さんのまなざしが一番、大切だと思って描いている。その美しさが見る人の心に入っていけばと思う」 −注目の作品は。 「入滅した釈迦(しゃか)がひつぎから起き上がって、天から駆け付けた母に説法する場面を描いた『釈迦金棺出現図』か。キリストの復活と比べ、あまり一般には知られていないシーンであり、見て、驚いてほしい」 |
山陰中央新報 2009-6-11朝刊
会場には黒い線で描かれた明王像や極彩色の観音図など藤野さんが丹念に描き込んだ28点の作品が並ぶ。ひときわ目を引く約2メートル四方の2点の曼荼羅(まんだら)は製作に1年半を費やした大作。赤や緑、金色で細部まで描写された鮮やかな四百体余りの仏や菩薩(ぼさつ)、明王が厳かな世界観を作り出している。 「今や死語になっている『慈しみ』の美しさを観音や菩薩のまなざしから感じてほしい」と話す藤野さんはこれまで約4000点を全国の寺院に収めてきた。一般の人は寺院に収められた仏絵を見る機会が少ないことから、展覧会が仏絵に触れるきっかけになればと考えている。藤野さんの工房が京都と滋賀以外で展覧会を開くのは今回が初めて。 来場した櫛田勇夫さん(69)=安来市九重町=は「線の細かさや色のあでやかさが見事の一言です」と感心していた。 |