以下 京都新聞2008年2月28日朝刊2面

西国三十三カ所 本尊ずら〜り
京の仏絵師が「お札」原画
写真
西国三十三カ所の本尊の観音様を色鮮やかに描いた絵を見る藤野さん(京都市下京区)

 観音信仰の霊場・西国三十三カ所の寺院が9月から、本尊を順次開帳するのに合わせ、京都市西京区の仏絵師藤野正観さん(57)がすべての寺の本尊を色鮮やかに描いた。この「カラー御影」を原画にして新しくお札をつくり、開帳を盛り上げる。

 西国三十三札所会の依頼を受けた。本尊を秘仏として公開していない寺も多く、各寺が撮った本尊の写真を見ながら約1年かけて仕上げた。

 原画の大きさは縦1メートル、横40センチ。色彩のない本尊や写真に収められていない個所もあり、一部は創作した。藤野さんは「それぞれに表情が違い、楽しく描けた」と話している。

 本尊開帳は、今年が西国巡礼を再興した花山法皇の千年忌に当たることから企画された。

 三十三カ所のうち、京都と滋賀には清水寺(東山区)、三室戸寺(宇治市)、三井寺(大津市)など17カ寺がある。




以下 読売新聞2008年2月28日


西国三十三所札所会が新調 観音菩薩の仏画鮮やか

完成した観音菩薩の仏画を披露する藤野さん(下京区で)

 清水寺など西国三十三所観音霊場の住職らでつくる「西国三十三所札所会」は27日、33か寺の本尊・観音菩薩(ぼさつ)の新調仏画を下京区のホテルで公開した。西京区の仏画家藤野正観さん(57)が約1年がかりで制作。慈愛にあふれた観音菩薩の姿を極彩色で描いている。

 西国巡礼中興の祖とされる花山天皇の没後1000年を記念し、9月から各寺が本尊を順次公開する「西国三十三所結縁御開帳」記念事業の一環。仏画はいずれも縦1メートル、横40センチ。藤野さんは各寺から取り寄せた観音菩薩の写真などを参考にし、黄土色を基調にした絹地に色鮮やかに仕上げた。立像や坐像など様々なスタイルがあり、中には憤怒(ふんぬ)の表情をしているものも。

 藤野さんは「最初に描いた仏画が観音菩薩で、自分の原点に戻ったような気持ちで感慨深かった」と話し、札所会副会長の伊丹光恭・三室戸寺住職(65)は「慈悲の心が伝わってくるよう」と話していた。

(2008年2月28日  読売新聞)



以下 中外日報社2008年3月1日

お札をカラーで新調へ   西国三十三所札所会総会
総会会場で本尊の仏画を見る各札所の住職たち
総会会場で本尊の仏画を見る各札所の住職たち

西国三十三所札所会は西国巡礼中興の祖・花山法皇の一千年大遠忌を記念して各札所の本尊を九月から順次開帳するのに合わせて、新たに「カラー御影」を制作し、参拝者に授けることとした。二月二十七日、京都市下京区のホテルで開かれた総会では、仏絵師の藤野正観氏が描いた新しい御影の原画が披露された。

藤野氏が描いた各札所の本尊の仏画は絹本彩色で、縦約一〇〇センチ、横約四〇センチ。一年がかりで三十三ヵ所の本尊すべてを制作した。この仏画を縦一三センチ、横八センチの大きさのお札にする。藤野氏は今回の制作に当たって、これまで授けられている白黒の御影のデザインを基調にしながらも、各札所から提供された本尊の写真によって持物や印など、これまで不鮮明だった部分を忠実に再現した上で、鮮やかな彩色を施している。

会場では、新しく出来上がった御影の原画を目にして、各札所の住職らからは「今までの御影よりも具体的になった」「立派でびっくりした」「とても良い出来で、感動した」などと賞賛の声が上がった。

総会では、花山法皇一千年大遠忌を記念して特別展を奈良と名古屋で開催することも決まった。奈良国立博物館は八月一日から九月二十八日まで、名古屋市博物館は十月十八日から十一月三十日までの予定。

今回の総会では、第二番札所・紀三井寺の前田孝道貫主に代わって、新たに第一番札所・那智山青岸渡寺の高木亮享住職が会長に選ばれた。副会長は第十番札所・三室戸寺の伊丹光恭住職と第十五番札所・今熊野観音寺の藤田浩哉住職がそれぞれ留任。任期は三年。