朝日新聞 滋賀版 1998年(平成10年)10月24日   より 1/5紙面

矢取地蔵の縁起複元
秦荘町歴史
文化資料館
来月末まで展示


復元された「矢取地蔵縁起絵巻」の一部分=秦荘町歴史文化資料館

 今昔物語にも載っている説話「矢取地蔵」の地元、 愛知郡秦荘町の町歴史文化 資料館が、この物語の絵巻物を複製し、作書の仏画師 藤野正観さん(四八)=京都市在住のほかの作品とともに展覧会を開いている。

矢取地蔵縁起絵巻の原本は、所在不明だが、町にゆかりのある東京在住者が持ってい近世の大和絵を元に復元した。
 復元された絵巻物は、幅 三十六cm、長さ六b。絵を 藤野さん、文字部分を書家 の北川詩雪さん、表具を笹谷光芳さん=いずれも京都市在住=が担当した。
 極彩色の絵と文字とが交互に配置され、物語りが進んでい く。  
「矢取地蔵」は秦荘町安孫子と隣の里との水争いが発端の水争いで、地蔵さんが小法師に姿を変え、安孫子の為に矢を拾い集めて勝利に導く。
 秦荘町では、 よく知られており、町のコ ーラスグループもオリジナル曲にしている。

 絵を担当した藤野正観さんは 「仏画師になって十二年になるが、絵巻物を手がけたるのは初めて。私は大和絵も好きで一年掛けて楽しく描けた。出来映えにも満足している」と話している。
展覧会は藤野さんの作品 五十二点とともに十一月末 まで開かれている。
期間中無休。大人三百円、小・中学生百五十円。