中日新聞 滋賀版 1998年(平成10年)10月16日 より 1/5紙面
秦荘町に伝わる絵巻「矢取地蔵縁起」の模写が完成 し、同町松尾寺の歴史文化 資料館でこのほど、展示が始まった。 「今昔物語」に 収録された水争いにまつわ る話しを絵と文字で再現しており、色彩豊かで繊細な描写が来館者の関心を集めて いる。 隣郷から攻撃され、苦戦 を強いられていた際、民寺の地蔵尊に祈願すると、小 法帥が戦場の失を拾い集めた。失はすべて敵に命中 して水を守ることができた。翌日地蔵尊をもうでる と、頭には矢がささり、流血していたという内容で、その後、同町岩倉にお堂を建てて地蔵尊を安置した。 同町が、京都市西京区、仏絵師藤野正観さん(四八)に制作を依頼して一年がかりで完成した。 絵巻は、横6.75m、縦36cmで、大和絵といわれる作風が見事に復元された。 同館では絵巻完成を記念して「現代の宗教画−藤野正観の仕事展」を開催しており「両界曼荼羅(まんだら)など52点を展示している。 11月30日まで。無休。大人300円、小中学生150円 |